点と線(ネタバレあり)

東京駅で官僚の課長補佐と料亭の女中が二人で列車に乗り込むところを、官僚に出入りしている機械工具商の安田という男が同じ料亭の仲間の女中に知らせ、その後、九州の海岸で二人が綺麗に並んで死んでいるのを発見されたので、誰もが情死だと疑う、という所がこの作品の一番のおもしろさだと思います。
私自身も日常生活の中で、お店に並んで入ってきた男女をカップルだと思っていたら赤の他人だった、ということをよく目にすることがあるからです。

捜査が進んでいくうちに、事件に疑いのある安田が死亡推定時刻に、犯行現場の九州とは真逆の北海道に出張しており、完璧なアリバイに何度も折れながらも、決してあきらめない三原警部補の執念がよく書かれています。

また、読んでいる最中は全然気づきませんでしたが、安田の妻が結核にかかり、外出もままならない病状で、時刻表を読むのが趣味である、というのがこの事件に大きく関係していたのが衝撃でした。
駅のホームから向こうのホームを見渡せる時間がわずか4分間という奇跡を発見し、それを実現させた妻の頭の良さ、そして自分は旦那の相手ができないから、料亭の女中である愛人の存在を認めながらも、やはり本心では許せないという心境にも同情しました。