華やかな中華王宮風の「後宮の烏」

これは新聞の書評で知りました。中華王宮風ファンタジー好きな私としては、すぐさま買いに、書店に走りました。それに、新聞で紹介されたカバー絵も私好み。美女が、舞うようにしなやかに、牡丹の花を見つめているのです。私は、美しい物も好みなのでした。

内容は、期待に違わず魅力的です。

後宮奥深くには、謎に包まれた「烏妃」が住まっています。不思議な術を使うと言われ、帝にさえ、ひれ伏すことのない存在。と、ここまでで既に素敵ではありませんか。

烏妃は、少女ともいえる程若い寿雪でした。ぬけるように白い肌、紅を塗った唇、つややかな黒髪、もうカバー絵がそのまま、私の寿雪のイメージになりました。

独特の言い回し、帝にも遠慮会釈の無い態度。小気味よいです。

後宮に次々と起きる事件を、寿雪は解決していくのですが、怜悧な頭脳と共に、優しく繊細な心根が表れていきます。事件が起きるごとに、寿雪の周囲には人が集まってきます。それまで、静謐にも孤独な生活を送ってきた寿雪は、戸惑いつつもそれを少しずつ心地よいものと感じていきます。が、烏妃は「人に交わってはならず」という教えがあり、不安定さも心に抱えてしまう。この、寿雪の繊細な心の動きが切ないです。

高峻との出会いがそれらのことどもを連れてきたようで、そのことも印象的でした。