小説「あん」で泣いて考える

私は「あん」のことを映画で知りました。それも、映画は見たこともないのですが、樹木希林さん主演の映画だということだけは知っていました。

そして、その樹木希林さんが亡くなったことがきっかけでこの小説を読もうと思ったのです。本屋さんで本を手に取ってみると、表紙のイラストはセーラー服の女の子がどらやきを一口かじって手に持っているものでした。あれ?希林さんが主人公のはずなんだけどな、と不思議でしたが買って帰りすぐに読み始めました。

高齢者の女性である徳江さんが、あまり繁盛していない小さなどらやき屋さんに働かせてくれと頼みます。はじめは店長も断るのですが、働かせてもらいたい意欲に負けて雇い入れます。徳江さんが作るあんこがとても美味しいので、お店は突如繁盛していきます。でも、徳江さんの手は変形していました。ハンセン病でそうなったのです。

徳江さんのハンセン病によって奪われた人生のつらい体験の数々を読んで、とてもいたたまれなかったです。淡々とした感じで語られているのですが、親兄弟と離されて隔離されて生きてきた徳江さんの人生は、悲しすぎるのです。

私も、この病気や過去の政策によってつらい思いをした人が大勢いることは、少しですが知っていました。でも、実在の人物のインタビューなどを聴くということもなくて、「あん」で初めてそういった苦難の人生を送った人に接した感じがします。私に何が出来るかわからないけれど、ハンセン病の歴史のことをもっと考えることがその一歩かなと思いました。